テクニカル・ケイパビリティ: 広義の技術力
Technologyと呼ぶものの中身について。ノーベル賞を取るような基礎研究成果や国家や大企業が抱える研究所で開発されるもの、あるいは特許のようなものを意味することもあるだろうが、個人的には、Capabilityということだと思う。もう少し厳密にいうと、technical capabilityということだろうか。
馴染みのある言葉でいうと、営業秘密やノウハウに近い気がする。必ずしも「いかにも」な科学技術的成果である必要はなくて、やり方、秘伝のレシピみたいなものも含まれるという認識。例えば「シェール革命」というとき、それは明らかにテクノロジーの革命だと思うのだが、そこで意図されているのは適用される化学物質や用いられるドリル機器それ自体を指すわけではなく、広義の「やり方」(場合によっては、シェール企業の経営手法そのものも含むかもしれない)であろう。あるいは「バッテリー革命」というとき、基礎研究等のポーションがそこでは大きいかもしれないが、それだけではなくてその要素技術を工場にどう組み込んで、どう製品化して市場に届けるか、というところまで含めて考えるべきであって、それは狭義の科学技術の範疇を超えて事業のオペレーション・経営論に近い領域に入っているだろう。
するとエネルギー業界の三要素は、次のように再定義できるだろうか。
- 地政学
- テクニカル・ケイパビリティ(TC)
- コーポレート・サスティナビリティ
TCとは、プロジェクト遂行能力である。エネルギー開発は各企業のTCの集積として結実する。
サスティナビリティとは何か。これは事業継続性である。いくら優れたTCを誇っても、TCの受け皿となる企業体が持続的な事業運営を行わなければ会社は潰れ、TCは消えてしまうだろう。いわばTCを支える土台である。特に地政学的介入が盛んに行われる中で、それらをうまく回避あるいは利用しながら事業継続性を高める施策が求められよう。