The Offshore Connotations

ライフワークである海洋開発についてのメモ

Team KUROSHIO クラウドファンディングでも話題になった海底地図マッピングが熱い!

 Team KUROSIOをご存知だろうか。JAMSTECヤマハ発動機KDDIなどの技術者が中心となって構成するチームで、アメリカのX Prize財団が主催する海底地図マッピングレースに参加し、見事決勝まで勝ち進んでいる。

https://team-kuroshio.jp

(参加団体は以下、出典はリンク先公式HP)

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 ちなみにこのレース、メインスポンサーはかのオイルメジャー、ロイヤル・ダッチ・シェル社であり、レースタイトルはShell Ocean Discoveryとのこと。

Ocean Discovery XPRIZE

 (デザインが無駄にカッコいい。。。)f:id:Schoolboy:20180922215312p:plain

 今や世界の原油生産のうち3割強は海洋油田からの生産であり、全体の1割近くがいわゆる「深海」油田だ。深海の定義は様々だが、現在、世界で最も深い油田は約水深3000Mと言われている。メキシコ湾でシェル社がオペレーターを務めるStones油田がそれである。FPSOと呼ばれる原油タンカーを改造した浮体式原油生産設備を、Turretと呼ばれる係留設備を用いて洋上に固定し、長期(大きな油田であれば20年近く)に渡り生産を継続する。

 

youtu.be

海底油田開発に必要な設備には大きく分けて二種類ある。一つは先ほど紹介したFPSOに代表される洋上生産設備、もう一つは海底に設置される油田コントロールシステムであり、一般にSubsea systemsと呼ばれる。このsubsea工事を実施するにあたっては、当然人間のダイバーが潜れる深さではないので、AUV (Autonomous Underwater Vehicle)が用いられるわけだが、今回KUROSHIOがレースに使用しているのも、まさにこのAUVだ。4000Mという超深海での高速マッピングという高難易度作業に挑戦することで、AUV分野でのイノベーションが大いに期待されるところである。

https://www.oceaneering.com/survey-and-mapping/geoscience-and-auv-surveys/

youtu.be

 

また、海底の「マッピング」という点もポイントだ。これは石油開発に留まらず、海底科学探査、水中考古学、海洋環境調査等、多方面で需要のあるテクノロジーである。某企業の社長が月旅行をするということで話題になっているが、今や、月や火星の表面の方がよっぽど詳しく見えている。深海底は光や電波の届かない究極の暗闇であり、まさに、現代最高級のフロンティアと呼ぶに相応しい。